AWAYの競合だった「RADEN」は、なぜシャットダウンしたのか

AWAY 公式サイト より

AWAY公式サイトより

D2Cスタートアップで、見本とされている会社としてよくAWAYが登場する。

AWAYは、ミレニアム世代のトラベルカンパニーで、スーツケースを開発・販売しているスタートアップだ。創業者の二人は、Warby Parkerで出会い、ビジネススクール出身でサプライチェーン構築をしていたSteph Koreyと、ソーシャルメディア担当してたJen Rubioが立ち上げた。
 創業のきっかけをすごく簡単に説明すると、創業者のJenが旅先中、スーツケースが壊れてしまい、友達におすすめを聞いてみたが、良いリコメンドがなかった。ミドルレンジのものがないので、じゃあ作ってみよう!というのが始まり。

AWAYが創業された2015年、もうひとつスーツケーススタートアップ「RADEN」

AWAYが創業された1ヶ月後、誕生した会社は「RADEN」。創業者のJosh Udashkinは、ニューヨークにある法律事務所でアソシエイトとして経験を積み、その後、靴とアクセサリーを販売する大手小売チェーンALDOで働いてきた玄人だった。

Furthermore より

当時のJoshは、スーツーケース業界にチャンスがあると確信し、RIMOWAやTUMIのような高級ブランドだけではない、ミレニアム世代の旅好きのための手頃なスーツケースを作ろうと思った。彼自身も、仕事柄、旅行することが多く、既存のスーツケースに対してペインを感じ、プロダクト開発に取り掛かった。

RADENの Instagram より

RADENのInstagramより

そしてリリースされたのが、リチウム電池が内蔵されたスマートスーツケース。iPhoneを充電することもでき、GPSラジオと3Gも組み込まれた優れもの。GSPによって、スーツケースが手荷物レールに到着したときにプッシュ通知がくる機能もあった。超過料金の支払いを防ぐための重さを確認できるセンサーがあったり、アプリで、空港への最短ルートやセキュリティで待つ時間、フライトの天候情報など提供した。

資金調達のプランニング

リリースした2016年のクリスマスまでに、1万9,000個のスーツケースは完売。加えて7,000人のWaiting Listまで。資金調達も著名VCから300万ドル調達に成功した。(Lerer Hippeau Ventures - AllbirdsやCasper、EVERLANEなどに出資、First Round Capitalなど)

RADENは、自社サイトを立ち上げたと同時に、Amazonで販売も開始した。その1ヶ月後、NYでポップアップをオープン。

RADENの Instagram より

RADENのInstagramより

大人気のため、在庫不足になり、資金をWaiting Listユーザーのための制作費として流れていった。残りは、15名の給与と、オフィス、店舗など。次第に、お金が減っていく状況をみて、投資家たちは、次の資金調達を進めるようアドバイスをした。しかし、Joshは、RADENで稼いだ売上で、会社を走らせることができると信じ、調達をしなかった。

しかし、スーツケースを販売しているスタートアップは、RADENだけじゃない。同じタイミングで、AWAYがスーツケースを発売。(加えてIndigogoでも同じようなスーツケースが誕生「Bulesmart」)

AWAYは、RADENとほぼ同じ値段で、デザインやブランディングもほぼ同じ。

初期のAWAY

初期のAWAY

2017年5月、AWAYは、シリーズBで2,000万ドルの資金調達を実施。参加したVCは、Global Founders Capital、Comcast Ventures、Accel Partners、Forerunner Venturesなど、こちらも著名VCばかり。大型調達によって、AWAYはクロスセルで他商品への拡大、常設店舗をオープンすることで急成長していった。

AWAYはスーツケースというプロダクトの技術面だけではなく、旅好きのためのコミュニティを作ることに注力していた。オンラインのインスタグラムマーケティングだけでなく、空港での広告などオフラインのマーケティングにも力を入れていた。

Joshは思ったのだ、「スーツケースを売っているが、”顧客獲得”ではない」と。そして、2017年のクリスマスシーズンは、スマートスーツケースは目新しいものではなくなり、潜在顧客は、AWAYに流れてしまい、惨敗に終わってしまった。

リチウム電池のスーツケース禁止に

同年、機内でのリチウム電池の発砲事件が発生。これにより、RADENのスマートスーツケースは利用できなくなってしまった。電池の取り外し可能なモデルを制作していたが、払い戻しに資金がいき、開発を続けることはでなかった。

そして2018年になり、AWAYは絶好調。AWAYもバッテリー付きスーツケースを販売していたが、創業者からの”丁寧”なビデオとメールを送り、無償で新モデルも交換できるようにした。RADENがシャットダウンした1が月後、シリーズCで5,000万ドルの資金調達を発表した。

この2社の事例では、「資金調達の計画」「競合環境の理解」「突然のリスクの対応」「コミュニティ>技術のマーケティング」だったポイントだったのと思う。スーツケース市場というのは、特に季節によって購入するものではなく、複数持つものでもない。なので、よりマーケティングによる潜在顧客をいかにコミュニティ化し、ブランドを好きになってもらうかが重要だったというのが分かる事象だった。バッテリー事件のような突然のリスクに対しても、適切に対応し、それを受け入れてくれるユーザーコミュニティが存在していたことも大きな違いだったと思う。

引き続き勉強中ですので、お茶やお話する人募集中です🍵 @mikirepo

《参照記事》
- Why did Raden, the smart suitcase company, go out of business? - Vox
- Your Suitcase Is Texting - The New York Times
- Exclusive: Raden’s founder explains why his smart luggage startup shut


miki kusano